いつぞやのパンクラスの神戸大会を見に行ったときだったなあ。
休憩時間があって喫煙所に行ったららもさんが煙草を吸っていた。一緒に石田長生さんとプロ野球解説者の平松さんもいた。
声もかける根性もないし、こういう場で握手してもらったりサイン書いてもらおうとしたらどうなるかぐらいはわかるので黙って中島らもと同じ灰皿を共有した。その時に石田長生さんが「伊藤君控え室で気がついて大丈夫やったらしいで」と言われた。第一試合でタックルに行った瞬間にミドルキックを顔面に食らって完全に意識が飛んだまま運ばれた選手のことだった。心配で控え室まで行ったんだろう。「あ、伊藤選手大丈夫だったんですか?」思わず私は石田さんに聞き返して石田さんは「うん」と答えてくれた。その間もらもさんは黙々と煙草を吸っていた。関係ない人間が会話に入ったためか、元からそういうひとなのかは分からないけどただ黙々と煙草を吸っていた。
興行が終わって帰る満員電車の中同じ車両にらもさんが立っていた。誰も声をかけることなく黙って満員電車の中に立っていた。三宮までは行かず、途中の駅で降りていった。
私の唯一の中島らもの接近遭遇のお話でした。
らもさん、安らかに。